【Unreal Engine 5】Windows向けにパッケージ化してexeを作成する手順【UE5.8】

はじめに

Unreal Engine 5で作成したゲームやアプリケーションは、開発中はUnreal Editor上で実行します。

しかし、作成したゲームやアプリを他のWindows PCで実行したり、ユーザーへ配布したりするには、Windows向けにパッケージ化してexeファイルを作成する必要があります。

今回は、Unreal Engine 5.8(UE5.8)で作成したプロジェクトをWindows向けにパッケージ化し、exeファイルとして実行するまでの手順を解説します。

この記事の環境

今回使用する環境は以下の通りです。

  • Windows 11
  • Unreal Engine 5.8
  • Visual Studio 2022
  • Windows 64bit(x64)
  • Unreal Engine Third Personテンプレート

Unreal Engine 5では、Blueprintのみで作成したプロジェクトだけでなく、C++を使用したプロジェクトもWindowsアプリとしてパッケージ化できます。

Unreal Engine 5の「パッケージ化」とは?

Unreal Engineのパッケージ化とは、開発中のUnreal Engineプロジェクトを、Windowsなどの対象OSで単独実行できる形式へ変換する処理です。

Windows向けにパッケージ化すると、最終的に

プロジェクト名.exe

という実行ファイルが作成されます。

ユーザーはUnreal Engineをインストールしていなくても、基本的にはこのexeファイルからゲームやアプリを起動できるようになります。

Unreal Engine内部では、主に次の処理が行われます。

Build
  ↓
Cook
  ↓
Stage
  ↓
Package

Build

C++コードやプラグインなどをWindows用にビルドします。

Cook

テクスチャ、マテリアル、Blueprint、Static Mesh、サウンドなどのアセットをWindows上で使用できるデータへ変換します。

Stage

ビルド済みのプログラムやCookされたアセットを、パッケージ作成用のフォルダへ集めます。

Package

最終的にWindows上で配布・実行できる形にまとめます。

Windows向けパッケージ化の前に確認すること

いきなりパッケージ化を開始することもできますが、事前にいくつか確認しておくことをおすすめします。

特に重要なのが次の項目です。

  1. 起動するマップ
  2. Windowsがターゲットになっているか
  3. Build Configuration
  4. C++プロジェクトの場合はVisual Studio環境

順番に確認します。

1. 起動するDefault Mapを設定する

まず確認したいのが、パッケージ化したexeを起動したときに最初に表示されるマップです。

Unreal Editorから、

Edit
 ↓
Project Settings

を開きます。

続いて、

Project
 ↓
Maps & Modes

を選択します。

ここにある

Game Default Map

に、ゲーム開始時に表示したいマップを指定します。

例えば、

ThirdPersonMap

を起動したいのであれば、Game Default MapにThirdPersonMapを設定します。

Game Default Mapを設定する理由

Editor上では現在開いているLevelからゲームを開始できるため、この設定を忘れていても気付きにくいことがあります。

しかし、Windows向けにパッケージ化すると、Game Default Mapの設定が重要になります。

パッケージ版を起動した際、

  • 真っ黒な画面になる
  • 想定していないLevelが表示される
  • ゲームが正常に開始されない

といった場合には、まずGame Default Mapを確認しましょう。


2. Packaging設定を確認する

続いてパッケージ設定を確認します。

Unreal Editorから、

Edit
 ↓
Project Settings
 ↓
Packaging

を開きます。

また、UE5.8では上部メニューから、

Platforms
 ↓
Packaging Settings

を選択してもPackaging設定を開くことができます。

ここではWindowsアプリを作る際の各種設定を変更できます。


3. Build Configurationを設定する

Packaging設定の中に、

Build Configuration

があります。

代表的なのが、

Development
Shipping

です。

Development

開発・動作確認向けのビルドです。

デバッグや動作確認を行う段階では、まずDevelopmentを使用することをおすすめします。

最初のパッケージ化では、

Development

で問題ありません。

Shipping

実際にユーザーへ配布するための最終ビルドに適した設定です。

Developmentと比較してデバッグ用の機能などが削減され、最適化された状態になります。

そのため、

開発・確認
    ↓
Development

完成・配布
    ↓
Shipping

という使い分けが分かりやすいでしょう。


4. Windows向けにパッケージ化する

ここから実際にWindows用のexeを作成します。

UE5.8では、Unreal Editor上部にある、

Platforms

をクリックします。

続いて、

Windows

を選択します。

Windowsのメニューが表示されたら、

Package Project

を選択します。

環境によってはWindows向けアーキテクチャとして、

x64

などを選択できます。

一般的なWindows 11 PC向けであれば、通常はx64を使用します。


5. 出力先フォルダを指定する

「Package Project」を実行すると、パッケージ化したファイルを保存するフォルダの選択画面が表示されます。

例えば、

C:\UE5Build\

など、分かりやすいフォルダを作成して指定します。

今回は例として、

C:\UE5Build\MyProject\

を指定します。

フォルダを選択するとパッケージ化が開始されます。


6. パッケージ化の完了を待つ

パッケージ化を開始すると、Unreal Editor右下などに進行状況が表示されます。

内部では、

Build
Cook
Stage
Package

などの処理が順番に実行されています。

プロジェクトの容量やPC性能によって処理時間は変わります。

特に、

  • テクスチャが多い
  • マップが多い
  • Static Meshが多い
  • Shaderが多い
  • C++コードを使用している

といったプロジェクトでは時間がかかる場合があります。

正常に終了すればパッケージ化完了です。


7. 作成されたWindowsアプリを確認する

指定した出力先フォルダを開きます。

例えば次のようなファイルが作成されます。

MyProject/
├─ MyProject.exe
├─ Engine/
└─ MyProject/

構成はプロジェクトや設定によって異なりますが、重要なのは、

MyProject.exe

です。

このexeファイルをダブルクリックします。

Unreal Editorを起動していない状態でもゲームが起動すれば、Windows向けパッケージ化は成功です。


exeだけを別のPCへ渡してもよいのか?

ここは注意が必要です。

パッケージ化すると、

MyProject.exe

だけでなく、

Engine
MyProject
Content関連データ
Pakファイル

など、実行に必要なファイルが生成されます。

そのため、基本的にはexeだけを取り出して配布するのではなく、パッケージ化で生成されたフォルダ全体を配布します。

例えば、

Windows/
├─ MyProject.exe
├─ Engine/
└─ MyProject/

という構成なら、

Windows

フォルダ全体をZIP圧縮して配布する方法が簡単です。

DevelopmentとShippingはどちらを選べばよい?

Windowsアプリとして作成する場合、最初はDevelopmentがおすすめです。

開発中

Build Configuration
↓
Development

配布時

Build Configuration
↓
Shipping

という考え方で問題ありません。

Developmentで正常にパッケージ化・実行できることを確認してから、最終的にShippingへ変更するとトラブルを切り分けやすくなります。


Shipping版を作成する

ユーザーへ配布する最終版を作る場合は、

Edit
 ↓
Project Settings
 ↓
Packaging

を開き、

Build Configuration

を、

Shipping

へ変更します。

その後、再度、

Platforms
 ↓
Windows
 ↓
Package Project

を実行します。

これでShipping設定のWindowsアプリを作成できます。


C++プロジェクトの場合

BlueprintのみではなくC++を使用したUE5プロジェクトでは、Windows側のC++ビルド環境も重要です。

Visual Studio 2022を使用する場合は、Visual Studio Installerから、

C++によるゲーム開発

のワークロードをインストールしておくことをおすすめします。

また、

  • MSVC
  • Windows SDK
  • Visual Studio Tools for Unreal Engine

など、Unreal EngineのC++開発に必要なコンポーネントも確認しておきましょう。

C++プロジェクトでパッケージ化時に、

Visual Studio
MSVC
Windows SDK
Compiler
Toolchain

などに関するエラーが表示された場合は、Visual Studioのインストール内容を確認します。


「Package Project」が表示されない場合

UE5のバージョンや画面構成によっては、インターネット上の記事とメニュー構成が異なることがあります。

UE5.8の場合は、まず上部の、

Platforms

を確認してください。

その中の、

Windows

から、

Package Project

を選択します。

古いUE5の記事では、

File
 ↓
Package Project
 ↓
Windows

となっている場合があります。

バージョンによるUI変更があるため、古い記事を参考にしている場合には注意してください。


パッケージ化でエラーが発生した場合

Windows向けパッケージ化では、さまざまな原因でエラーになる場合があります。

代表的な原因を紹介します。

Windows SDK関連のエラー

例えば、

Windows SDK

に関するエラーが出た場合は、Visual Studio Installerを起動します。

Windows SDKやC++ビルドツールがインストールされているか確認します。


C++コンパイルエラー

C++プロジェクトの場合、通常のビルドでは見逃していたエラーがパッケージ化時に発生する場合があります。

その場合はVisual Studioなどから一度プロジェクトをビルドして、C++側のエラーを修正します。


Pluginによるエラー

使用しているPluginが、

  • 現在のUE5バージョンに対応していない
  • Windowsパッケージ化に対応していない

場合もあります。

ログにPlugin名が表示されている場合は、対象Pluginを一旦無効にして確認する方法もあります。


パッケージ化は成功するがexeが起動しない

パッケージ化自体は成功しても、exeを起動するとすぐ終了する場合があります。

この場合は、

Saved
 ↓
Logs

などに生成されるログを確認します。

また、コマンドプロンプトからexeを実行してログを確認する方法もあります。

原因としては、

  • GPU / DirectX関連
  • プラグイン
  • アセット読み込み
  • Blueprintの実行時エラー
  • C++の実行時エラー
  • メモリ不足
  • Default Mapの設定

などが考えられます。


パッケージ化前に確認したいチェックリスト

最後にWindows向けパッケージ化前の確認項目をまとめます。

□ Game Default Mapを設定した

□ Editor上で正常にゲームが動作する

□ Windowsをターゲットにしている

□ Development / Shippingを確認した

□ C++プロジェクトの場合はVisual Studio環境を確認した

□ Windows SDKを確認した

□ 不要なPluginを無効にした

□ 出力先のディスク容量を確認した

特に初めてパッケージ化する場合には、いきなりShippingにするのではなく、

Development

で一度パッケージ化することをおすすめします。


Windows向けパッケージ化の手順まとめ

Unreal Engine 5.8でWindows用アプリを作成する基本的な流れは次の通りです。

1. Game Default Mapを設定する
        ↓
2. Project Settingsを開く
        ↓
3. Packagingを確認する
        ↓
4. Build Configurationを設定する
        ↓
5. Platformsを開く
        ↓
6. Windowsを選択する
        ↓
7. Package Projectを実行する
        ↓
8. 保存フォルダを指定する
        ↓
9. パッケージ化完了
        ↓
10. exeを実行する

Unreal Editor上で正常にゲームが動作していても、Windowsアプリとして配布するためにはパッケージ化が必要です。

まずDevelopmentでパッケージ化してexeが正常に起動することを確認し、問題がなければShippingへ変更して最終版を作成すると、問題が発生した場合にも原因を切り分けやすくなります。

Unreal EngineでWindows向けゲームや業務アプリを開発する場合には、開発の早い段階で一度パッケージ化を試しておくことをおすすめします。