- はじめに
- この記事の環境
- Unreal Engine 5の「パッケージ化」とは?
- Windows向けパッケージ化の前に確認すること
- 1. 起動するDefault Mapを設定する
- 2. Packaging設定を確認する
- 3. Build Configurationを設定する
- 4. Windows向けにパッケージ化する
- 5. 出力先フォルダを指定する
- 6. パッケージ化の完了を待つ
- 7. 作成されたWindowsアプリを確認する
- exeだけを別のPCへ渡してもよいのか?
- DevelopmentとShippingはどちらを選べばよい?
- Shipping版を作成する
- C++プロジェクトの場合
- 「Package Project」が表示されない場合
- パッケージ化でエラーが発生した場合
- パッケージ化前に確認したいチェックリスト
- Windows向けパッケージ化の手順まとめ
はじめに
Unreal Engine 5で作成したゲームやアプリケーションは、開発中はUnreal Editor上で実行します。
しかし、作成したゲームやアプリを他のWindows PCで実行したり、ユーザーへ配布したりするには、Windows向けにパッケージ化してexeファイルを作成する必要があります。
今回は、Unreal Engine 5.8(UE5.8)で作成したプロジェクトをWindows向けにパッケージ化し、exeファイルとして実行するまでの手順を解説します。
この記事の環境
今回使用する環境は以下の通りです。
- Windows 11
- Unreal Engine 5.8
- Visual Studio 2022
- Windows 64bit(x64)
- Unreal Engine Third Personテンプレート
Unreal Engine 5では、Blueprintのみで作成したプロジェクトだけでなく、C++を使用したプロジェクトもWindowsアプリとしてパッケージ化できます。
Unreal Engine 5の「パッケージ化」とは?
Unreal Engineのパッケージ化とは、開発中のUnreal Engineプロジェクトを、Windowsなどの対象OSで単独実行できる形式へ変換する処理です。
Windows向けにパッケージ化すると、最終的に
プロジェクト名.exe
という実行ファイルが作成されます。
ユーザーはUnreal Engineをインストールしていなくても、基本的にはこのexeファイルからゲームやアプリを起動できるようになります。
Unreal Engine内部では、主に次の処理が行われます。
Build
↓
Cook
↓
Stage
↓
Package
Build
C++コードやプラグインなどをWindows用にビルドします。
Cook
テクスチャ、マテリアル、Blueprint、Static Mesh、サウンドなどのアセットをWindows上で使用できるデータへ変換します。
Stage
ビルド済みのプログラムやCookされたアセットを、パッケージ作成用のフォルダへ集めます。
Package
最終的にWindows上で配布・実行できる形にまとめます。
Windows向けパッケージ化の前に確認すること
いきなりパッケージ化を開始することもできますが、事前にいくつか確認しておくことをおすすめします。
特に重要なのが次の項目です。
- 起動するマップ
- Windowsがターゲットになっているか
- Build Configuration
- C++プロジェクトの場合はVisual Studio環境
順番に確認します。
1. 起動するDefault Mapを設定する
まず確認したいのが、パッケージ化したexeを起動したときに最初に表示されるマップです。
Unreal Editorから、
Edit
↓
Project Settings
を開きます。
続いて、
Project
↓
Maps & Modes
を選択します。
ここにある
Game Default Map
に、ゲーム開始時に表示したいマップを指定します。
例えば、
ThirdPersonMap
を起動したいのであれば、Game Default MapにThirdPersonMapを設定します。
Game Default Mapを設定する理由
Editor上では現在開いているLevelからゲームを開始できるため、この設定を忘れていても気付きにくいことがあります。
しかし、Windows向けにパッケージ化すると、Game Default Mapの設定が重要になります。
パッケージ版を起動した際、
- 真っ黒な画面になる
- 想定していないLevelが表示される
- ゲームが正常に開始されない
といった場合には、まずGame Default Mapを確認しましょう。
2. Packaging設定を確認する
続いてパッケージ設定を確認します。
Unreal Editorから、
Edit
↓
Project Settings
↓
Packaging
を開きます。
また、UE5.8では上部メニューから、
Platforms
↓
Packaging Settings
を選択してもPackaging設定を開くことができます。
ここではWindowsアプリを作る際の各種設定を変更できます。
3. Build Configurationを設定する
Packaging設定の中に、
Build Configuration
があります。
代表的なのが、
Development
Shipping
です。
Development
開発・動作確認向けのビルドです。
デバッグや動作確認を行う段階では、まずDevelopmentを使用することをおすすめします。
最初のパッケージ化では、
Development
で問題ありません。
Shipping
実際にユーザーへ配布するための最終ビルドに適した設定です。
Developmentと比較してデバッグ用の機能などが削減され、最適化された状態になります。
そのため、
開発・確認
↓
Development
完成・配布
↓
Shipping
という使い分けが分かりやすいでしょう。
4. Windows向けにパッケージ化する
ここから実際にWindows用のexeを作成します。
UE5.8では、Unreal Editor上部にある、
Platforms
をクリックします。
続いて、
Windows
を選択します。
Windowsのメニューが表示されたら、
Package Project
を選択します。
環境によってはWindows向けアーキテクチャとして、
x64
などを選択できます。
一般的なWindows 11 PC向けであれば、通常はx64を使用します。
5. 出力先フォルダを指定する
「Package Project」を実行すると、パッケージ化したファイルを保存するフォルダの選択画面が表示されます。
例えば、
C:\UE5Build\
など、分かりやすいフォルダを作成して指定します。
今回は例として、
C:\UE5Build\MyProject\
を指定します。
フォルダを選択するとパッケージ化が開始されます。
6. パッケージ化の完了を待つ
パッケージ化を開始すると、Unreal Editor右下などに進行状況が表示されます。
内部では、
Build
Cook
Stage
Package
などの処理が順番に実行されています。
プロジェクトの容量やPC性能によって処理時間は変わります。
特に、
- テクスチャが多い
- マップが多い
- Static Meshが多い
- Shaderが多い
- C++コードを使用している
といったプロジェクトでは時間がかかる場合があります。
正常に終了すればパッケージ化完了です。
7. 作成されたWindowsアプリを確認する
指定した出力先フォルダを開きます。
例えば次のようなファイルが作成されます。
MyProject/
├─ MyProject.exe
├─ Engine/
└─ MyProject/
構成はプロジェクトや設定によって異なりますが、重要なのは、
MyProject.exe
です。
このexeファイルをダブルクリックします。
Unreal Editorを起動していない状態でもゲームが起動すれば、Windows向けパッケージ化は成功です。
exeだけを別のPCへ渡してもよいのか?
ここは注意が必要です。
パッケージ化すると、
MyProject.exe
だけでなく、
Engine
MyProject
Content関連データ
Pakファイル
など、実行に必要なファイルが生成されます。
そのため、基本的にはexeだけを取り出して配布するのではなく、パッケージ化で生成されたフォルダ全体を配布します。
例えば、
Windows/
├─ MyProject.exe
├─ Engine/
└─ MyProject/
という構成なら、
Windows
フォルダ全体をZIP圧縮して配布する方法が簡単です。
DevelopmentとShippingはどちらを選べばよい?
Windowsアプリとして作成する場合、最初はDevelopmentがおすすめです。
開発中
Build Configuration
↓
Development
配布時
Build Configuration
↓
Shipping
という考え方で問題ありません。
Developmentで正常にパッケージ化・実行できることを確認してから、最終的にShippingへ変更するとトラブルを切り分けやすくなります。
Shipping版を作成する
ユーザーへ配布する最終版を作る場合は、
Edit
↓
Project Settings
↓
Packaging
を開き、
Build Configuration
を、
Shipping
へ変更します。
その後、再度、
Platforms
↓
Windows
↓
Package Project
を実行します。
これでShipping設定のWindowsアプリを作成できます。
C++プロジェクトの場合
BlueprintのみではなくC++を使用したUE5プロジェクトでは、Windows側のC++ビルド環境も重要です。
Visual Studio 2022を使用する場合は、Visual Studio Installerから、
C++によるゲーム開発
のワークロードをインストールしておくことをおすすめします。
また、
- MSVC
- Windows SDK
- Visual Studio Tools for Unreal Engine
など、Unreal EngineのC++開発に必要なコンポーネントも確認しておきましょう。
C++プロジェクトでパッケージ化時に、
Visual Studio
MSVC
Windows SDK
Compiler
Toolchain
などに関するエラーが表示された場合は、Visual Studioのインストール内容を確認します。
「Package Project」が表示されない場合
UE5のバージョンや画面構成によっては、インターネット上の記事とメニュー構成が異なることがあります。
UE5.8の場合は、まず上部の、
Platforms
を確認してください。
その中の、
Windows
から、
Package Project
を選択します。
古いUE5の記事では、
File
↓
Package Project
↓
Windows
となっている場合があります。
バージョンによるUI変更があるため、古い記事を参考にしている場合には注意してください。
パッケージ化でエラーが発生した場合
Windows向けパッケージ化では、さまざまな原因でエラーになる場合があります。
代表的な原因を紹介します。
Windows SDK関連のエラー
例えば、
Windows SDK
に関するエラーが出た場合は、Visual Studio Installerを起動します。
Windows SDKやC++ビルドツールがインストールされているか確認します。
C++コンパイルエラー
C++プロジェクトの場合、通常のビルドでは見逃していたエラーがパッケージ化時に発生する場合があります。
その場合はVisual Studioなどから一度プロジェクトをビルドして、C++側のエラーを修正します。
Pluginによるエラー
使用しているPluginが、
- 現在のUE5バージョンに対応していない
- Windowsパッケージ化に対応していない
場合もあります。
ログにPlugin名が表示されている場合は、対象Pluginを一旦無効にして確認する方法もあります。
パッケージ化は成功するがexeが起動しない
パッケージ化自体は成功しても、exeを起動するとすぐ終了する場合があります。
この場合は、
Saved
↓
Logs
などに生成されるログを確認します。
また、コマンドプロンプトからexeを実行してログを確認する方法もあります。
原因としては、
- GPU / DirectX関連
- プラグイン
- アセット読み込み
- Blueprintの実行時エラー
- C++の実行時エラー
- メモリ不足
- Default Mapの設定
などが考えられます。
パッケージ化前に確認したいチェックリスト
最後にWindows向けパッケージ化前の確認項目をまとめます。
□ Game Default Mapを設定した
□ Editor上で正常にゲームが動作する
□ Windowsをターゲットにしている
□ Development / Shippingを確認した
□ C++プロジェクトの場合はVisual Studio環境を確認した
□ Windows SDKを確認した
□ 不要なPluginを無効にした
□ 出力先のディスク容量を確認した
特に初めてパッケージ化する場合には、いきなりShippingにするのではなく、
Development
で一度パッケージ化することをおすすめします。
Windows向けパッケージ化の手順まとめ
Unreal Engine 5.8でWindows用アプリを作成する基本的な流れは次の通りです。
1. Game Default Mapを設定する
↓
2. Project Settingsを開く
↓
3. Packagingを確認する
↓
4. Build Configurationを設定する
↓
5. Platformsを開く
↓
6. Windowsを選択する
↓
7. Package Projectを実行する
↓
8. 保存フォルダを指定する
↓
9. パッケージ化完了
↓
10. exeを実行する
Unreal Editor上で正常にゲームが動作していても、Windowsアプリとして配布するためにはパッケージ化が必要です。
まずDevelopmentでパッケージ化してexeが正常に起動することを確認し、問題がなければShippingへ変更して最終版を作成すると、問題が発生した場合にも原因を切り分けやすくなります。
Unreal EngineでWindows向けゲームや業務アプリを開発する場合には、開発の早い段階で一度パッケージ化を試しておくことをおすすめします。
